初心者がデッサン講座を始める前に知って欲しいこと

初めてデッサンをするとき、何から手をつけて良いのか、わかならないことだらけだと思います。画材屋で適当な画材を買おうにも、多すぎてどれを選べば良いのかわかりません。

そもそも、使ったことのない画材は使う発想すら浮かばないと思います。やはりこういうときは、誰か描いたことのある人に習うのが一番手っ取り早く、確実です。

ここでは、デッサン初心者が知っておいたほうが良い初歩の初歩と、講座の選び方を紹介します。

初心者がデッサンを始めるには

デッサンをしたことがない、という全くの初心者の方は、まずはデッサンをするのに必要な道具を知るところからスタートしましょう。

デッサンは専用の道具がないとうまく描けないことがあります。道具次第で、デッサンの結果が大きく変わるためです。

例えば、イーゼルを使うか使わないかでもデッサンの結果は変わってきます。机の上で描くと、画面の下の方が自分に近く、画面の上の方が自分から遠いため、描き終えたら上の方の図像が縮んでしまった、ということがあります。

そういった不都合を解消するための専用の道具がイーゼルであったり、カルトンであったりします。

デッサンで使う鉛筆の種類

デッサンで使う鉛筆には多くの種類があります。初めての人にとってはそれだけでも面食らってしまうかもしれません。

デッサン用鉛筆はブランドによっては10B〜10Hと硬度(濃さ)がたくさんあります。しかし、まずはじめの選び方としては、硬度よりも、そのブランドがデッサン用かどうかを確認しましょう。

なぜなら、デッサン用に作られたブランドの鉛筆は、鉛筆の材料である黒鉛の質が均一で質が高いためです。そのため、文字を書く用に作られた鉛筆より、色をつけたときに色むらができにくくなっています。

例えば、文字を書く用のトンボ鉛筆と、デッサン用である三菱のハイユニ(Hi-uni)では粒子の均一さが異なります。ぱっと見は些細な差かもしれませんが、画面全体に色をつけると、この小さな差がデッサンの質に差となってきます。

そのため、デッサンをする際は、デッサン用の鉛筆を選びましょう。日本で代表的なデッサン用鉛筆は、「三菱のHi-uni」「三菱のuni」「ステッドラーのマルスルモグラフ」の3つです。

より詳しく知りたい方は、以下のテキストもご覧ください。

>>「デッサンでよく使われているおすすめの鉛筆」

鉛筆の持ち方

デッサンをするときは、独特の鉛筆の持ち方があります。鉛筆をつまむように軽く持ち、画面から手を浮かせます。この持ち方をすることで、広い範囲に色をつけやすくなったり、長い直線や曲線を引いたりすることができます。

例えば、文字を書く持ち方だと、A4より大きい画面に色をつけるのが大変です。手で画面を擦ってしまい、せっかくつけた色が、意図せずぼやけてしまうこともよくあります。

しかし、デッサン用の持ち方であれば、画面につけた色を擦ってしまうこともなく、早く、楽に画面全体に色をつけることができます

また、あたりをつけるときはよく直線を使います。直線は角度が違う、長さが違うなど、狂いがわかりやすいためです。

文字を書く持ち方では直線を引くことは難しいです。短い線なら引けるかもしれませんが、A4やB3といった大きな画面になる程、あたりに長い直線が必要になってきます。こういったときは、やはりデッサン用の持ち方が適しています。

デッサンに適した持ち方なら、練習すれば画面の端から端までの直線を引くことも可能だからです。

鉛筆の持ち方についてより詳しく知りたい方は、以下のテキストもご覧ください。

>>「鉛筆などの描画材の持ち方と使い方」

その他基本の道具

デッサンをするときに、あると便利なデッサン用道具を紹介します。練り消しゴム、イーゼル、カルトンです。むしろ、これらはないと不便です。

例えば、普通のプラスチック消しゴムは、固すぎて画面の凹凸を潰してしまったり、色を薄くしたいときに調整がしにくいです。その点、練り消しゴムなら画面を傷つけることなく、消し具合も調整できます。

>>「デッサン用の練り消しゴムの使い方とメリット」

また、最初の方でも述べましたが、机の上で描くと、出来上がった絵の上の方が縮んでします。すると、絵を立てかけて正面から見たときに、上の方が伸びて、細長くなってしまうのです。

それを解消するために、画面と描き手の視線を直行させた状態で、紙を設置することができるのがイーゼルです。

>>「デッサンで使う画用イーゼルの種類と使い方」

最後に、カルトンです。これがもっとも聞きなれない名前かもしれません。カルトンはボール紙でできており、クッションの役割を果たします。

カルトンのようなクッションが紙の下にないと、筆圧をかけて濃くしたり、といった線の表現の幅が出しにくくなります。また、イーゼルに紙だけを設置することができないので、その役割も果たします。

>>「デッサン用のカルトン(画板)の特徴と使い方」

練り消しゴム、イーゼル、カルトンは画材屋で購入できます。安価なもので良いので、持っておくと良いでしょう。

デッサン講座を探してみる

初心者の方は、まずどんなデッサン講座があるのかを探してみましょう。ひとまず、無料で公開されている練習方法や実習の例に当たってみましょう。

無料で体験しておけば、あとで有料講座を受けようと思ったときに、「思っていたのと違う」という後悔をせずにすみます。

例えば、デッサン・ラボラトリーでは『デッサンの練習 基礎力をあげるトレーニング』で実習を無料公開しています。「地と図」「単純化」など、絵を描くための斬新な見方を体験することができるでしょう。

>>『デッサンの練習 基礎力をあげるトレーニング』

このように、まずは無料の体験を実際に行ってみることをおすすめします。

デッサンをする上で大切なこと

デッサンを実際に行うに当たって大切なことは、継続することです。というのも、諦めずに続けていれば、結果というのは自動的についてくるからです。

例えば、私は絵の予備校で劣等生でした。そこでは、完成したデッサンを「よく描けている順」にみんなの前で並べ、講評します。私は「下から数えた方が早い」、ということがしょっちゅうでした。

そんな私でも、2浪した末に、難関美大に入学することができました。2浪もしてしまいましたが、諦めずに継続さえすれば、時間はかかっても結果は付いてきます。

独学に限界を感じたら

とは言っても、人に習うのが上達の近道です。私は予備校でただ闇雲に描いていましたが、きちっとした論理にしたがって絵を勉強していれば、2浪もせずに同じ画力に到達していたと思います。

すでに描けるようになった先輩や講師に話を直接聞くと、思いも寄らないヒントや見方を聞けることがあります。

例えば、私は「あたりは最初だけとるものだ」と思っていましたが、上手い人に聞いてみると、「あたりは最初から最後までずっととっている」というのです。こういった、教本や授業では出てこない細かなデッサンのコツは、直接聞くことで初めて聞けます。

独学で「よくわからない」「このままで良いのか」と迷ったら、思い切って人に習いましょう。お金を払って習う方が上達は早いです。

講座や教室で刺激を受けよう!

初心者こそ、講座や教室に通うメリットが多くあります。デッサンが全くの初めてだと、描く具体的なイメージや鉛筆の持ち方などが曖昧だからです。

例えば、線はどうやって引いているのか、画面からどれぐらい離れて描いているのかなどは、1人でやっているとずっと確信が持てないままです。

また、教本を読んでみても、小さな疑問がいくつも出てくると思います。本では、まず形をとってというプロセスから始まりますが、それができなくてつまづいたときに、講師に質問できると解決策が見えてきます。

どのような講座や教室が良いか

講座や教室を有料で受講するときは、そこの生徒が成果を出しているかが肝心です。もし、他の生徒がその講座で成果を出していれば、自分も同じように成果を出せる可能性が高くなります。あとは継続と努力次第です。

例えば、生徒のビフォーアフターなどが見れるとわかりやすいですね。

デッサン・ラボラトリーの生徒作品

実際にどれぐらいデッサンが上達したかを一目瞭然で見ることができます。

初心者は基礎から学べるデッサン講座へ

受講しようとしている講座が、初心者向けかどうかは重要なポイントです。中級者以上向けの講座を選んでしまうと、基本の道具の使い方など、ある程度知っている前提で話が進んでいきます。

特によくあるのが、形はそこそこ取れる前提で話が進む教本です。本屋でデッサンの本を買ったは良いけれど、「そもそも最初に描いていることができない」という経験はありませんか?

そう言ったところでつまづかないように、初心者は初心者向けの講座を選ぶようにします。もしくはつまづいても、講師に質問ができる講座が良いです。

あなたの悩みを解決してくれそうな講座を選びましょう。

教室に通う時間がなければ通信講座

最近では、通信講座も充実して来ています。通信講座は時間に縛られないので、「子供がいるので決まった時間にデッサンができない」「家の近くにデッサン教室がない」という方でも学ぶことができます。

例えば、24時間いつでも見れる会員サイトを使って、自分の好きな時間にデッサンの実習ができたり、講師からアドバイスがもらえたりします。

また、教材がセットになっていて、自宅に送られてくるタイプのものもあります。

時間が自由に取れない、地方に住んでいて近くにない教室がない場合は、通信講座を積極的に活用してみましょう。

まとめ

デッサン初心者の方は、まず無料の講座や情報でデッサンを実践してみましょう。そこの実習や講師の考え方が自分と合えば、有料へ申し込むのです。

その方が、講座選びに後悔がないと思います。いきなりよくわからないところに有料で申し込むと、「思っていたのと違った」と感じるかもしれません。

例えば、講座を行なっている講師がブログをやっているのであれば、その記事を読んでみましょう。そこでなんとなく、「自分に合いそうだな」「自分の悩みが解決しそうだな」というのがわかると思います。

そうして、無料の練習法や情報を探して、試してみて、悩んだりつまづいたりしたら、思い切って有料の講座で習ってみましょう。

デッサンに限らず、何事も人に習うのが上達の近道です。悩みやコンプレックスを解決して、理想の自分に近づいたイメージしながら、デッサンに楽しく取り組んでください。