ジェスチャーを観察する方法についてはテキストの「人物デッサンのコツは相手になりきること」で、素速く描く方法については「デッサン上達のコツは素速く描いて鍛えること」で紹介しました。
> 「人物デッサンのコツは相手になりきること」
> 「デッサン上達のコツは素速く描いて鍛えること」
実際にジェスチャーをデッサンする際は、これらを同時に行います。
ただ、話すのが苦手な初心者マークのドライバーが、運転と会話を同時にするのが難しいのと同じで、どちらもある程度慣れるまでは難しいと感じるでしょう。
まずはそれらを別々に習得し、慣れてきたら同時に行いましょう。それができるようになると、観察したことを描きたい時に、ささっと描くことができるようになります。
素速く見て素速く描く
ここから先は、ジェスチャーを観察することと、素速く描くことの両方ができる前提で話を進めていきます。
まだどちらか、あるいは両方に慣れていない方は、先にそれらの訓練を行うことをおすすめします。
さて、あなたは街中で人物を描こうとしているとします。
あなたが選んだモデルは動き続けていて、止まってはくれません。ですから、モデルのジェスチャーを自分の身体感覚に置き換えて観察したら、すぐさま、それを素速く線で表現してください。
この時、どう線を引くのかは考えないようにしましょう。あなたの目と感覚はモデルを観察することに集中し、あなたの腕には、ただ、速く動き続けることを命じるだけにします。画面は見ても構いません。
とにかくたくさんジェスチャーを描く
これをひたすら返すと、当然どんどんデッサンがうまくなっていきます。対象の特徴をつかめるようになってくるからです。そのうちに、ジェスチャーだけでなく、モデルの輪郭も一緒に描けるようになってきます。
私なら、資料集め、または訓練のために一度出かけたら、60枚は描きます。頭で考えるよりも、とにかく数をこなして体に覚えさせましょう。
また、ジェスチャーをデッサンする感覚が定着しないうちに訓練をやめると、その感覚を忘れてしまいます。それはとてももったいないことなので、訓練はやり始めたらしばらくの期間続けるようにしてください。
具体的な演習方法、画材の選択や描く時間などは以下のテキストで紹介しています。
参考と脚注
B・エドワーズ『内なる画家の眼』エルテ出版、1988年
K・ニコライデス『デッサンの道しるべ』エルテ出版、1997年
※1
ヤコポ・ダ・ポントルモ(イタリア:Jacopo da Pontormo)
1494─1557