デッサンで唇、口元、口の描き方

口は想像以上に複雑な形をしていて、角度やあたりの取り方を間違えると顔が歪んで見えてしまいます。そうなると、せっかく一生懸命描きこんでも、リアリティがなかなか出ません。そうならないないように知識をつけて、しっかりリアリティのある口元にしましょう。

ポイントをしっかり押さえておけば、早く正確に、口元をリアリティがあるように描くことができます。

口元を描くポイントは3つあります。

  1. あたりの取り方
  2. 口の周りに筋肉を描く
  3. 角度(横、上下、斜め)

1つずつ見ていきましょう。

1.あたりの取り方

正面から見たときに、口の両端を点で取り、直線で結びます。そしてその中央の3点目を打ちます。これが基本のあたりになります。

次に、上唇と下唇の境界を描きます。場所は最初のあたり線のやや上、中央の点よりに2つ点を打ちます。この2点の位置は、唇の形によって微妙に異なります。よく観察して点を打ってください。

そして最初の3点を含めた5点をジグザグに結びます。この線が、上唇と下唇の境界のあたりです。境界が決まったら、上唇と下唇の外側の輪郭を取っていきます。

上唇と下唇の輪郭取るべきあたりは、上唇と下唇のそれぞれ一番出っ張っているところです。下唇であれば2点、上唇であれば2点とります。上唇はそれに加えて、中央のへっこんでいる部分に1点あたりを取ります。そしてこれを線で結びます。これで唇の輪郭のあたりができました。

あとはこのあたりをガイドとに、実物をよく観察して描いていきましょう。

2.口の周りの筋肉を描く

口を描くときに、「唇の形を描いて終わり」とする方がいますが、これではリアリティが足りません。唇とその周辺の口の筋肉もセットで必ず描きましょう。

口の両端の下の筋肉(よく三角筋と言われる)は必ず描きましょう。

明暗境界線が三角筋のあたりに来る場合は、しっかりとその形が確認できます。そうでない場合でも、薄い線を一本入れるだけでも口元の説得力が増します。

ピカソの自画像でも三角筋を表した線が見て取れます。

Fig.1 ピカソ※1のデッサン

3.角度(横、上下、斜め)

向かって左側を向いている角度の口を描く場合は、先ほど最初に取ったあたり3点のうち、中心のあたりをやや左に寄せます。

そしてその左にずらしたあたり点をガイドとして、他のあたり(上唇と下唇の境界、上唇と下唇の輪郭のあたり)も少しづつ左へずらします。

これだけで、左を向いた唇の形を描くことができます。

横から見たときの唇を描くときは、上唇の輪郭が、上唇と下唇の境界よりも前に出ます。下唇の輪郭も同様に前に出ますが、下唇より上唇の方がより前に出ることが多いです。ただし、個人差があるので、よく観察してください。

上から見た場合の口の形は、歯のアーチがベースになります。頭蓋骨を想像してください。歯は真っ平らではなく、緩やかにアーチを描いていますよね。口はその骨を土台として上に付いているので、歯のアーチを描き、そこにあたり点を加えていきます。

下から見た場合はアーチの向きが逆になります。そして、下から見たときは特に三角筋の形がよく見えます。

斜めから見た場合は、横から見た時と上下どちらから見た時を組み合わせます。

例えば、向かって左横から見ていて、かつ上から見ている場合。こういうときは、まず少し横を向いた時と同じように中央のあたりを左へずらし、それをガイドとして上から見たアーチを描きます。

まとめ

  1. あたりの取り方
  2. 口の周りに筋肉を描く
  3. 角度(横、上下、斜め)

これらをしっかり知識として覚えて口を観察、描くだけで、リアリティのある口元になります。

これを観察だけで発見して描くと時間がかかります。知識として持っているだけでかなり描く助けになると思います。

ただやはり人によって口の形は違うので、これをガイドとして、あなたが観察している口がこれと同じか、どれだけ違うのかをしっかり観察して描いてください。

参考と脚注

※1
パブロ・ピカソ(スペイン:Pablo Picasso
1881─1973