デッサン用の羽ぼうきの使い方

デューラー※1の素描

羽ぼうき(羽箒・羽根箒、feather sweeper)は画面上の埃や消しくずなどを払いのけるための道具です。画面を傷つけることなく、消しくずや埃を取り除くことができます。

束ねられた鳥の羽が柄に付いていて、その羽の部分で消しくずなどを払います。形はメーカーによって様々あり、どれでも構いません。ただ、画材用として売られているものを使ってください。画材用の羽ぼうきは画面を傷つけないように、適度な柔らかさで作られているからです。

ウチダドラフトドットコムから引用

羽ぼうきを使うタイミング

デッサンの最中、画面上にある消しくずや埃、細かい粒子を払うために羽ぼうきを使います。特に鉛筆デッサンや製図の際によく使われます。羽ぼうきは練り消しゴムを使ったあとすぐに使います。画面上に残したままにしておくと、描画の作業に支障がでるからです。

例えば、消しゴムから出たくずを放置したまま描画を続けると、消しくずの上に描画材の顔料を乗せてしまいます。すると同じ画面上で、消しくずがあるところだけは顔料が乗っていない、という状態になります。これは意図しない色むらにつながります。

また、顔料が付着した消しくずは描画の最中に、描画材に引きずられて画面の上を転がったり、描画材によって紙の表面にこすり付けられてしまいます。それによって画面が汚れる恐れがあります。

練り消しゴムには軟化材として鉱物油が含まれているので、画面上に放置しているとその脂が斑紋状の汚れとなることがあるためです。

以上のような問題が起こるのを防ぐため、練り消しゴムを使ったあとは羽ぼうきで消しくずを払い落とします。消しくずは微細で目立たないこともありますが、手で触ると残っているのがわかります。きちんと取り除いておきましょう。

また、埃などは気になった時に払い落とします。

photo by pheanix

羽ぼうきの使い方

羽ぼうきは主に消し具を使用した後に使います。羽の部分で画面上の消しくずを優しく、さっさっ、と軽く払い落とします。

この時、画面に羽を強く擦り付けないでください。羽ぼうきで画面を強く摩擦してしまうと、画面上の顔料を擦り拡げて画面を汚しかねないからです。

羽ぼうきを使う時はややゆったりとした動作で、羽先がわずかに画面に接触するくらいで、軽やかに扇ぐように払います。

また、コンテや木炭、チョーク、パステルなど、画面上にたくさんの粉末として残る描画材に羽ぼうきを使うことはほぼありません。消しくずと一緒に顔料も取ってしまったり、顔料を画面に擦り広げてしまったりするためです。

もし羽ぼうきが手元になければ、代用として勢い良く息を画面に吹きかけたり、広げたティッシュでサッと払う、手で弾き落とす、という方法もあります。

ただ、これらの方法使う場合、羽ぼうきを使うよりも画面を傷つけたり汚したりする可能性が高くなるので注意してください。

消しくずなどを取り除く際は、画面を汚したり傷めたりしないようにします。その点で羽ぼうきはとても便利です。

手入れの仕方

羽ぼうきの羽部分が描画材の粉などで汚れた場合はクリーニングをしましょう。そのまま制作に使用してしまうと画面を汚してしまいます。

クリーニングと言っても難しいことはありません。羽を傷めないように羽に風を送って粉を飛ばす、優しくはたく、乾いた布などで優しく拭う、少し湿らせた布で軽く拭き取り乾かす、などです。

参考と脚注

ウチダドラフトドットコム「製品カタログ」(閲覧日:2015年10月)

※1アルブレヒト・デューラー(神聖ローマ帝国:Albrecht Dürer
1471─1528