イメージだけでデッサンをするための練習

イメージして描く力をつけることによって、あなたはより自由な表現ができるようになります。

また、「動いている人物や動物を描きたい」「外で風景や植物を描きたい」「画面内でモチーフを自由に構成したい」とあなたが思っているのなら、イメージで描く力が必要です。

1. 練習の内容

・制限時間:30分(6分を5回)
・目的:対象を見ずにイメージだけで描く
・行動:モデルを反対側から、または反転させたのを想像して描く

テキスト「イメージ力を上達させて自由にデッサンする」を読んでからこの練習を行ってください。

> イメージ力を上達させて自由にデッサンする

パターン1と2の練習のうち、どちらかを選んで行ってください。

1-1. 画材の準備

・スケッチブック、またはA4コピー紙
・2Bより濃い鉛筆で、先を尖らせていないもの

> デッサンでよく使われているおすすめの鉛筆

1-2. モチーフの準備

この練習では5分間継続して同じポーズを取ってくれる人をモデルにします。

友達と交代でモデルをしたり、家族に頼んだりしてみましょう。

どうしてもモデルが準備できない場合は、以下のサイトから360度回転するモデルのポーズを選んで使います。

> YouTube CroquisCafe「The Croquis Cafe 360: Meredith Rose No. 4」
(閲覧日:2017年12月)

1-3. 「パターン1」の手順1(5分)

モデルにポーズを5分間とってもらいます。ポーズは左右対称でないこと、5分間維持できるものにします。

例えば、足を組んで椅子に座ってもらったり、野球のバッティングをしているポーズなどです。

それでは、モデルを簡単にデッサンしてください。

ただし、あなたから見えているモデルのポーズは描きません。あなたが描くのは、モデルを反対側から見た時のモデルのポーズです。

実際にはあなたは場所を移動せずに、移動したと仮定してイメージだけでそのポーズを描いてください。

1-4. 「パターン1」の手順2(1分)

描き終えたら、実際にモデル反対側に回り、あなたが描いたデッサンと比べ、違いを確認してください。

1-5. 「パターン1」の手順3

手順1と2を繰り返します。

ダ・ヴィンチ※1のデッサン

1-6. 「パターン2」の手順1(5分)

「パターン1」と同様に、モデルにポーズを5分とってもらいます。ポーズは左右対称でないこと、5分間維持できるものにします。

ただし、ここでもあなたから見えているモデルのポーズは描きません。

あなたが描くのは、あなたが見ているモデルを左右に反転させたモデルです。

1-7. 「パターン2」の手順2(1分)

左右を反転させたポーズを描き終えたら、モデルにお願いして、今しているポーズの左右を反転させたポーズをとってもらい、あなたが描いたものとの違いを比べてください。

あなたが動画のモデルを使った場合は、画像を反転させるなどして確認するといいでしょう。

1-8. 「パターン2」の手順3

手順1と2を繰り返します。

2. 反省のポイント

反省するポイントは、あなたがイメージで描いたものと、実際に反対側に行ったり反転させたポーズを比べ、なぜ違うのかを考えることです。

それを行うことで、自分が何を見落としがちなのか、どのようなイメージが足りないのかが明らかになります。

例えば、足を組んだモデルを反対側から描いたとき、反対側から見た足の付け根の見え方やひねり方が違っていたりします。

そして、それは普段、そういうところをあまり観察できていない証拠でもあります。普段よく観察できていれば、記憶にある程度残っているからです。

こうした確認を繰り返していると、普通にモデルを見て描くときにも、あなたが見落としがちだと思うところを自分でよく観察するようになります。すると、あなたの中に対象の形や現象に関する記憶が増えます。

結果、イメージだけで描けることがどんどん増えていくのです。

3. この練習が難しいと思ったら

以下のテキストで、この練習のウォーミングアップ用の練習を紹介しています。

いきなりモデルを使ってイメージするのが難しいとあなたが感じた場合は、まずこのウォーミングアップの練習から行ってみてください。

> 文字を活用。イメージでデッサンする予備練習

参考と脚注

K・ニコライデス『デッサンの道しるべ』エルテ出版、1997年

※1
レオナルド・ダ・ヴィンチ(イタリア:Leonardo da Vinci
1452─1519