描写力と観察力を鍛えるデッサンでのよい構図

作品制作で構図が大切な理由は、それがあなたの伝えたいこと、表現したいことをより端的に伝えるのを助けてくれるからです。

しかし、観察力や描写力を鍛えるために行うようなデッサンの場合、作品の意図が曖昧なことがほとんどです。そんな時、よい構図というのは作品の意図を伝えるというよりも、視覚的に見やすい構図、見栄えのする構図のことです。

このテキストでは、視覚的に見やすい構図、見栄えのする構図のごく基本的なルールを紹介します。

描写力や観察力を鍛える場合は見栄えのいい構図を

テキスト「デッサンでよい構図とはテーマが伝わる構図」でも触れましたが、構図を考える時に最も大切なのは、あなたの意図がきちんと伝わる構図にすることです。

> 「デッサンでよい構図とはテーマが伝わる構図」

これができていないと、視覚だけであなたの意図を鑑賞者にうまく伝えることができません。

しかし、描写力や観察力を上げるためのデッサンをするときは、そもそも作品の意図が曖昧だったり、設定すらしていなかったりします。

そのようなデッサンの場合でも、構図について考えます。ただし、この場合は作品の意図を伝えるというよりも、視覚的に見やすい構図、つまり、見栄えのする構図を考えます。

構図を考える時の基本姿勢

描写力や観察力をあげるためのデッサンをする場合、見栄えのする構図の基本ルールは以下です。

・描く大きさは、モチーフの等倍〜1.2倍(大きなモチーフを除く)
・モチーフが画面の中心にくるように描く

基本的に、極端にモチーフを小さく描いたり、モチーフを画面の端に寄せて描いたりするのは、それがあなたのテーマを表現するのに最適だと考えた時だけです。

また、画面の中心に描くというのは、数値としての中心ではなく、目で見て中心に感じる位置に描く、ということです。なぜなら、モチーフの形は複雑なため実際の中心においても中心にあるように見えないことがあるからです。(Fig.1)

Fig.1  Charles Bargue: Drawing Courseより引用、加工

紙よりモチーフが大きい場合

モチーフをその等倍〜1.2倍で描くために、モチーフの大きさに合わせて画面の大きさを選びます。例えば、小さなモチーフが1〜数個なら、B3サイズがちょうどよいでしょう。

また、少し大きめのモチーフや、たくさんのモチーフを組んで描く場合はB2や木炭紙大(500mm×650mm)など、もう一回り大きな紙を選びます。

ただし、人物や石膏像など、紙に対してあまりに大きなモチーフの場合は、B2や木炭紙大の紙にモチーフを縮小して描くのがよいでしょう。大きすぎる紙にデッサンすると1枚描くのに時間がかかりすぎるためです。

モチーフを縮小して画面に描く場合は、モチーフの実際の大きさや形が分かりやすいように切り取ります。

例えば、石膏像なら、その大きさが伝わるように紙からはみ出すぐらいに描いても問題ありませんが、石膏の立体感や形がわかるように、像の端っこの回り込む部分などを切り取りすぎないように注意してください。

参考と脚注

Gerald M.Ackerman, Charles Bargue: Drawing Course, Art Creation Realisation, 2011