「影をつけるとなんだか不自然になる」「どこにどう影をつけていいのかわからない」とあなたが感じているなら、とにかく光の方向を意識しましょう。
それだけで、あなたが描く陰影はぐんっと自然な印象に近づきます。
光に照らされた部分だけが見えている
ものは光が当たって初めて私たちの目に映ります。ようは、光が当たっている部分しか見えないのです。「影の中も見えるよ」というときは、そこに反射光という光が当たっているから影の中が見えています。
もし、宇宙に光がまったくないとしたら、私たちの目には何も見えません。しかし、そこに光を放ち続ける太陽が現れると、惑星やその衛星が太陽に照らされます。そうしてはじめて、私たちは惑星や衛生を発見することができます。
まばゆい太陽は光源となって、上下・前後・左右、あらゆる方向に向かって無数の光の粒子を絶え間なく放ち続けます。それが惑星や衛生に当たっているのです。
影は光源の反対側に現れる
光の粒子は、空間上をどこまでも直進する性質があります。また、放射状に広がるという性質も持っています。写実画家は、この性質を知り、それに基づいて画面に陰影を表現します。
また、画家が陰影を描くために光を考えるとき、多くは光を粒子ではなく束のように考えて扱います。
これは、光の粒子が私たちの目には連続しているように見えるからです。光の粒子は次から次へと、途方も無いくらいの短い間隔で放たれています。そのため、先に出る粒子とその次に出る粒子との間隔は限りなく小さく、光はまるで途切れていないように感じます。
ここにある図は、光とものと影を図学的に表したものです。
図のように、ものの影は必ず光源の反対側に現れます。あなたが陰影を正確に描きたいなら、まずは光源の位置を見極め(定め)、光に照らされる物体の反対側に影がくるように描いてください。