デッサンの才能は努力で育てることができる

デッサンをしていると、何度も難しい壁にぶち当たりあります。そんな時、「私には才能がないかもしれない」「私には向いていないのでは」という不安にかられることがあります。私もそうでした。

しかし、デッサンの才能があるかどうかを気にする必要はありません。なぜなら、才能は努力をしてみないとあるのかどうかがわからないからです。

才能があるのか、ないのか、これは結果論にすぎません。デッサンができるようになれば、才能があると言われ、できないうちは才能がない、と言われるだけです。

才能は先天的か後天的かわからない

才能というのは開花しているから自覚できます。たとえば、走るのが早い子は、実際に早く走ることでその能力に気づきます。つまり、早く走ろうとしないことには、その才能があるか確認できません。

そして、その才能が先天的なものなのか、やんちゃに走り回ったことで得た後天的ものなのか、才能が開花した後だと確認しようがないのです。

つまり、才能があるかないかは結果論であって、成果にならないうちは、先天的な才能があってもなくても「ない」とみなされます。逆に、努力をしたことによって開花した才能は、先天的であっても後天的であっても、他人から才能として評価されます。

デッサンの才能を育てる

デッサンの才能は努力で育ちます。実際、はじめは才能があるようには見えなかったけれど、デッサンを続けることでデッサンが上達した人を私は見てきました。

たとえば、画塾で講師に散々な叱責を受けながら、最後には国公立の美大へ受かった人たちです。

デッサン力は、ちょっとしたきっかけでぐんっとアップします。早くに才能が開花した人は、
そのきっかけに早い段階で出会っていたのでしょう。そのきっかけに出会うためには、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」で、とにかくたくさん描くことです。

才能を伸ばし続けたピカソ

美術の世界で大きな成果を残したピカソ※1は、10代の頃に神童と言われるほど美術の才能に溢れていました。

しかし、ピカソが神童と言われた理由が先天的な才能だとは言い切れません。なぜなら、彼の父は美術教師で、ピカソが幼い頃から英才教育を施していたと言われているからです。

また、ピカソが描いた、上手すぎると言われるデッサンの中には模写があります(Fig.1)。これは、シャルル・バルグのドローイングコースに掲載されている手本(Fig.2)を模写したもの、というのが通説です。これは訓練すれば描けるようになります。

Fig.1 ピカソによる画手本の模写
Fig.2 Charles Bargue: Drawing Course※2より引用

彼の天才性の理由は生まれた時からある才能ではなく、大量の作品を作ること、制作に夢中で取り組んだことにあると私は考えています。なぜなら、ピカソは晩年までに、ギネスに載るほど大量の作品を制作し、才能を伸ばす努力を誰よりも続けたからです。

まとめ

デッサンの才能が「ある/ない」は努力をしてみないと見えてきません。そのため、自分のデッサン才能を確認したければ、その才能が開花するまでデッサンを続けることです。それ以外にあなたの才能を確かめる方法はありません。

あなたが、努力が苦にならないほどデッサン好きであれば、いずれあなたのデッサン力は上達します。そして、周りの人々がそれを「才能」と呼ぶようになるでしょう。

参考と脚注

※1
パブロ・ピカソ(スペイン:Pablo Picasso
1881─1973

※2
Gerald M.Ackerman, Charles Bargue: Drawing Course, Art Creation Realisation, 2011