トーン扱う練習。デッサン用トーン表の作り方

Fig.1

Fig.1は、等間隔に変化していくトーン(色調)を並べたものです。

このようなトーン表は、デッサンの最中の基準色として役に立ちます。鉛筆や木炭など、実際にあなたがデッサンで使用する画材で作っておくのが理想です。あなたがよく使う画材でこの表を作っておきましょう。

また、この表を作ること自体が、自由にトーンを作る訓練にもなります。

1. 練習の内容

・制限時間:1時間
・目的:トーンをコントロールする力をつける
・行動:等間隔に変化していく9色を作る

テキスト「トーンのコントロールでデッサンの表現力UP」を読んでからこの練習を行ってください。

> トーンのコントロールでデッサンの表現力UP

1-1. 画材の準備

・横35cm、縦15cm以上の画用紙
・2H〜4Bの鉛筆
・練り消しゴム

> デッサンでよく使われているおすすめの鉛筆
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1-2. モチーフの準備

画用紙に、2Hの鉛筆で横27cm、縦10cmの長方形を描きます。

その長方形の横幅を9等分してください。すると、横3cm、縦10cmの長方形が9個できるはずです。

1-3. 手順1

まず、一番右の四角を4Bの鉛筆で真っ黒に塗り潰してください。これがこのトーン表で最も暗い色になります。(Fig.1の⑨)

そして反対側、一番左の四角は画用紙の白のままにしておき、触りません。そして、これがこの表で最も明るい色になります。(Fig.1の①)

1-4. 手順2

次は、Fig.1の①と⑨の真ん中に当たる色を作ります(Fig.1の⑤)。もっとも明るい色と暗い色と、何度も見比べながら、あなたが中間の色になったと思うまで調整してください。

それができたら、今度はFig.1の①と⑤の中間の③、⑤と⑨の中間の⑦を作ります。

同様に、さらにそれらの中間色であるFig.1の②、④、⑥、⑧に相当する色を作ってください。

もちろん、「トーンがおかしいな」とあなたが思ったら、途中で修正しても構いません。微調整しながら、等間隔に変化する9つのトーンを作りましょう。

2. あなたがよく使う画材と色で作る

同じ要領でこのトーン表以外にも、あなたがよく使う色を使ってトーン表を作りましょう。

例えば、同じ鉛筆でも「私は10H〜10Bまで使う」というのなら、その鉛筆全てを使ったトーン表を作ります。

また、木炭を使う人は木炭と木炭紙を使ってこのトーン表を作ってください。

3. なぜ9色なの?

実際には白と黒の間には無限のグレーが存在しますが、人の目ではそれを全て捉えて比較することができません。つまり、無限の色はデッサンには必要ないのです。

そして、人が形を捉えるときに解釈する白と黒の間の色数は、およそ9色だと考えられています。そしてこれは、9色のトーンを適切に配色すれば写実的に見える、ということでもあります。

4. トーン表をデッサンで使う

基準となるトーン表ができたら、デッサンをするときにそれを参考にしてモチーフの色を配分してみましょう。

例えば、先ほどの9色の基準色を作った時と同じように、まずモチーフの中で最も明るい色(ハイライト)と最も暗い色がどこになるか、これをよく観察してください。

たいていの場合、この両極端な2つの色の量(面積)はそれほど多くありません。石膏像のように、物自体の色である固有色が白1色の場合、ハイライトは光源に対して垂直方向を向いている面で、なおかつ光源に最も近い部分となるでしょう。

逆に、最も暗い色となる部分は、反射光も届かないようなところになります。

次に、中間色を探していきます。Fig.1の⑤に当たる色が対象のどの部分に当たるかを探してみましょう。

必ずしも、基準色と全く同じ色である必要はありません。基準色はあくまで参考ですから、それに近い色、という認識で探していきます。

慣れないうちは面倒なやり方ですが、このような観察を繰り返すうちに、画面全体のトーンのバランスを見ながら印象を調整する力が備わってきます。そうなれば、トーン表を見なくても適切なトーンが作れるようになってきます。

5. トーンの研究

モチーフを見て描くのではなく想像で描く場合、絵の印象を操作するために基準色の色幅を意図的に広げたり、逆に狭めたりしてみましょう。

例えば、明るい色の幅を狭めたり、最も暗い色をいつもより明るくしたりするなどです。

また、巨匠のデッサンを参考にするのもいいでしょう。あなたが好きだなと感じるトーンを使っている巨匠のデッサンから、トーンを抜き出して研究します。

例えば、最も明るい色と最も暗い色、中間色・・・と9色に分け、それぞれの色がどれぐらい使われているのか、その量(面積)を比較してみてください。

参考と脚注

ジュリエット・アリスティデス『ドローイングレッスン』ボーンデルタル、2012年