デッサンで視覚的に心地よい構図を作る練習

視覚的に心地よい構図を作るには、「色(明暗)」「形」「タッチ」「マチエール」をリズムよく、バランスよく構成する必要があります。

このテキストでは、あなたが視覚的にバランスのよい、心地よい構図を作るための感覚を磨く練習方法を紹介します。

アンリ・ミショー※1の作品

1. 練習の内容

・制限時間:30分
・目的:構図に対するバランス感覚を磨く
・行動:バランスよく画面内に点を打っていく

テキスト「デッサンで構図を決める要素。視覚的バランス」を読んでからこの練習を行ってください。

> デッサンで構図を決める要素。視覚的バランス

1-1. 画材の準備

・B3の画用紙
・4Bより濃い鉛筆

> デッサンでよく使われているおすすめの鉛筆

画用紙をカルトンの上か、壁に設置します。描いている最中にずれてしまわないように、画鋲やクリップで固定してください。

> デッサン用のカルトン(画板)の特徴と使い方

1-2. モチーフの準備

この練習では使いません。

1-3. 手順1

まずは、まっさらな画用紙の好きな部分に、鉛筆で点を1つ打ってください。

1-4. 手順2

次に、画面から2〜3m離れ、画面を眺めます。ここで、打った点と画用紙の枠のバランスを見ます。点が薄くて見えない場合は少し濃くしておきましょう。

そして、「ここにもう1点打てばバランスがよくなりそうだ」とあなたが思うところに、2点目を打ってください。

1-5. 手順3

2点目を打ったら、また画面から2〜3m離れ、打った2つの点と、画用紙の枠のバランスを見ます。

そして、3点目も同様に、あなたが「ここに打てばバランスがよい」と思うところに打ってください。

…これをずっと繰り返し、何十、何百と点を打っていきます。

2. 応用練習

応用として、鉛筆をあなたがよく使う画材や好きな画材に変えて、この練習を行ってみてください。

例えば、絵の具やチョーク、コンテ、木炭などです。これらは点の位置だけでなく、こすったり、ぼかしたりと、そのマチエールのバランスも鍛えることができます。

また、方眼紙を使うのも面白いです。この場合、点ではなく方眼のマス目を塗りつぶしていきます。

他には、点を線や円に変えたり、これらを混ぜて使ったりすることで、よりモチーフを扱うのに近い、複雑な構成力を鍛えることができます。

3. まとめ

点の数が増えるほど、バランスのよい構図を保つのが難しくなってきます。これは、点が増えるほど点同士の間隔にバリエーションができ、考慮するバランスも増えるためです。

また、画面が大きくなるほど全体を見渡すのが難しくなるため、バランスよく点を打つのが難しくなります。画面のサイズや形も好きに変えて行ってみてください。

よいバランスの構図にするためには、このような練習を繰り返して構図に対する感覚を磨いていきます。

外出先でも小さなスケッチブックを持ち歩き、落書きの感覚でこの練習を行うとよいでしょう。

参考と脚注

※1
アンリ・ミショー(フランス:Henri Michaux
1899─1984