投影の基本|影のでき方と描き方

モチーフにどんな風に陰影が付くのか、床にどんな影が落ちるのかイメージできない、という方は、投影のできるルールに触れておきましょう。

投影のルールを知っていることで、光の位置が推測できるようになったり、トーンの変化が色むらなのか、陰影の変化なのか見分けられるようになります

今回は、投影のごく基本的な原理について説明します。このルールは投影や、陰影ができる法則を理解するためにもしっかり頭に入れておいてください。

モチーフ別の投影

図の中に3つモチーフがあります。aはただの縦の棒です。縦の細い棒と解釈してください。2つ目、bcは宙に浮いた横棒です。3つ目は点e,f,g,hで囲まれた四角い平面です。シンプルに投影のルールを学ぶため、これらの厚さや太さについては考えないものとします。

3つのモチーフを使って、投影がどうできていくのかを見ていきます。

地面についた縦棒の投影

まずaです。これは地面についている縦棒と考えてください。このaの投影を求めます。

まずは、光点をまっすぐ地面まで降ろします。光点が地面上のどの位置にくるかを確認するためです。

そして地面上の光の位置と、モチーフaが地面と接している点、これらを直線で結びます。これが地面上で、光から影がどの方向に伸びるかを決定する直線となります。この時、モチーフを挟んで光と影が真反対にできることを覚えておいてください。

問題は影がどこまで伸びるのかです。これは光点とモチーフaの一番高い位置を、直線で結んだ先a’になります。

これが投影の基本的な考え方です。あとはこれを応用していくことで、色々な形の投影を求めることができます。

空中にある横棒の投影

例えばbcは宙に浮いた横棒ですが、この場合はどうやって投影を描くのかを見ていきましょう。

まずは先ほどと同じように、光点からまっすぐに直線を降ろし、光が地面上でどこにあるのかを確認します。

そしてここからがモチーフaと違う点です。モチーフであるbcは、光点を地面上に降ろしたのと同じように、b,cそれぞれからまっすぐに直線を降ろします。そして、地面上ではb,cはどの位置にあるのかを確認します。

モチーフaの場合は、すでに棒の先端が地面についていたので、このプロセスは必要はありませんでした。

ただ、bcは光点と同様に宙に浮いているので、光点と同様に、一度地面に降ろしたらどこにあるのかを求めます。

そして、地面に降ろした光と、地面に降ろした点b,cを、それぞれを直線で結びます。これが、地面上で光から影が伸びる方向になります。

次に、この地面上の投影がどこまで伸びるのかを求めます。これは光点と宙に浮いたモチーフb,cの各点を結んだ直線の延長上b’,c’となります。ここはaの時と同じですね。点b’とc’を直線で結んだもの、これがモチーフbcの投影b’c’です。

宙に浮いているモチーフの投影を描くポイントは、宙に浮いている位置から垂直線を降ろして、光点から垂直に降ろした線と結ぶことです。宙に浮かせたままでは光の方向がわからないので、一度地面上の位置をきちんと確認してください。

空中の平面の投影

さらなる応用として、宙に浮いた平面efghの投影を考えます。

まずはモチーフaやbcと同じように、光点から垂線を降ろして、光が地面上のどの位置にくるかを確認します。

続いて、宙に浮いた点e,f,g,hからそれぞれ垂線を降ろし、それぞれの点が地面上のどこにくるのかを確認します。ここはモチーフbcと同じ要領ですね。

そして、地面上の光点の位置と、地面上の点e,f,g,hをそれぞれ直線で結び、投影の方向を決定します。これで、地面上の平面efghを挟んで、光と影が反対側にできます

続いて、この地面上の投影がどこまで伸びるのかを求めます。光点と、宙に浮いている点e,f,g,hをそれぞれ直線で結びます。この直線と、先ほどの地面上の光点と地面上の点e,f,g,hを結んだ直線とが交わるところ、ここが投影の輪郭になります。

例えば、光点と点eを結んだ直線と、地面上の光点と地面上のeを結んだ直線の交わったところe’。ここが投影の輪郭になります。他の点も同じように求め、それらを直線で結びます。すると、モチーフefghの投影、e’f’g’h’ができます。

まとめ

投影の基本的な考え方は以上です。形に厚みが出ても、同じように光点とモチーフの各点を結んでいけば、投影が求められます

また、描いた投影があっているか、これをチェックする方法を1つご紹介します。

モチーフが地面に対して平行な場合は、モチーフの形と投影が透視図上で平行になります。透視図上で、というのは、消失点に向かうほど線が収縮するため、一見平面上では平行な線ではないためです。

描いて終わりではなく、こうしておかしいところがないかもチェックするようにしてください。

投影のルールを知っていることで、光の位置が推測できるようになったり、トーンの変化が色むらなのか、陰影の変化なのか見分けられるようになります。今回ご紹介した基本的なルールはしっかり理解しておいてください。