デッサンの講座を受けようと考えるとき、どこが良いかなと悩む方は非常に多いです。
特に絵を学んだことがない人は、何を基準に選べば良いのかわからないため、無駄な講座にお金を払ってしまう可能性も高くなります。自分に合わない講座を選ぶと、せっかくお金と時間を投資しても成果が出ません。
では何を基準に講座を選べば良いのでしょうか?
ここでは自分に合ったデッサン講座の選び方について解説します。
もくじ
生徒が成果を出しているか
生徒が実際にその講座や教室で成果を出しているかは重要なポイントです。実際に成果を出している生徒が複数人いるのであれば、自分も頑張ればそこで成果がを出す可能性が高いことがわかります。
そこの生徒が実際に成果を出しているかどうかを判断するためには、生徒のビフォーアフターの作品を見ると良いです。このとき、言葉だけではなく、写真つきのもので判断しましょう。言葉だけだと、本当にデッサンが上達したのかどうかわかりません。
例えば次のような写真があると、実際にどのようにデッサンが上達したのかがわかります。
さらに生徒さんの顔写真や文章があると、その情報が嘘ではないことがわかります。ただ、プロが撮ったような綺麗すぎる顔写真ばかりを使っているレビューは逆に作り込まれすぎていて怪しいです。
逆に生徒本人が撮ったのだな、とわかるような顔写真や文章だと、そのビフォーアフターと評価は信憑性が高いと考えることができます。
他の生徒が成果を出しているのであれば、自分もそこで努力をすることで成果を出せる可能性が高いです。
自分のレベルに合っているか
検討している講座が、誰に向けられたものかを確認する必要もあります。自分のレベルと合わないところを選ぶと、十分な学習効果が得られないかもしれません。
例えば、社会人なので、社会人向けのデッサン講座を探しているとします。このとき、美大受験を想定した講座や教室へ行くと、受験対策に特化したデッサンをすることになってしまいます。
そのため、誰に向けられた講座なのかを確認しておきましょう。
初心者向けか中級者向けか
誰に向けられた講座なのかを考えるときに、まずは想定されているレベルを確認しましょう。教える相手が初心者か、中級者以上かで、指導の内容がかなり変わってくるためです。
例えば、初心者は形を合わせるのに四苦八苦します。そのため、まずは形をどう取っていくのか、どこから描き始めるのか、鉛筆はどうやって削るのか、といったレベルから話が始まります。
これに対して、中級者以上になると、そういった初歩的な情報は必要ありません。ある程度は描けるけれど、もう一皮剥けるにはどんな勉強が必要か、ということを求めてくるので、必然的に指導もより深く狭く、専門的になってきます。
そのため、まずは自分の学んできた経験から、初心者であれば初心者向けの講座を選ぶようにします。
一般向けか美大受験生向けか
社会人向けか、美大受験生向けかも、講座を選ぶときに重要なポイントです。
特に美大受験はやや特殊です。受験対策に特化した内容の指導になるため、そもそも社会人には不要な実習もあります。
例えば、「構成デッサン」や「色彩構成」といった、構成力があるかを見るための課題があります。でもこれが作品制作に必要な課題かどうかは怪しいです。あるデザイナーの方は、「受験で一番役に立ったのはデッサンで、色彩構成は役に立ったのかよくわからない」と言っていました。
また、美大受験では何百枚とあるデッサンの中から、自分の作品に気づいてもらわないくてはいけません。そうなると、「とにかく目立つ」ことも重要になってきます。繊細でじっくり見て味わうデッサンを描いても、試験官の目に止まりにくい恐れがあります。
しかし、目立つデッサンが良いデッサンとは限らないため、やはり美大受験を想定していない方は、社会人向けの講座の方が良いでしょう。
講座に期限はあるか
自分がどれぐらいデッサンに時間を取れるのかも、デッサン講座を選ぶ際に重要なポイントとなります。
講座には期限付きのものがあるためです。
週に数日しか時間が取れないのに、講座の期限が3ヶ月しかないとすれば、デッサンが上達する前にその講座が終わってしまいます。
また、毎日デッサンをする時間があるとしても、やはり3ヶ月で基本のスキルを身に付けるのは無理です。デッサンには体得するものでもあるためです。
例えば、野球を始めた人が、3ヶ月でレギュラーメンバーになるのは難しいです。バッティング1つとっても、頭で理解するのと同時に、体が覚える、慣れるまでに時間が必要です。
デッサンも野球と同じように、体を使う技術です。上達にはある程度の時間が必要なため、講座の期限が極端に短いものは避けるようにしましょう。自分のペースで無理なく続けられる、期限なしの、継続タイプがおすすめです。
講師に質問ができるか
はっきり言ってしまえば、描ける人に直接聞くのがデッサン上達の近道です。
本や動画では基本的なスキルや考え方を学ぶことができます。しかし、その中では言い切れないほど、細かい工夫やスキル、考え方があるのも事実です。
しかし、これらは描き手本人が使っている自覚がないか、使っていることが当たり前すぎて意識に登ってこないために、質問されて初めて言葉として出てくることがあります。
例えば、私が以前、絵が上手い人に実際に聞いたのが、形を正確に合わせる方法です。
話しているうちに、その人が「あたりは最初だけではなく、最後まで取り続けている」という事実がわかりました。私はあたりは最初だけだと思っていたので、これにはとても驚きました。そして何より、聞かれたその人が「あたりは最後まで取るのが当たり前だと思っていた」と驚いていました。
このように、講師、生徒共に、実際に質問してみて初めてわかることがあります。そのため、講師に質問ができる講座を選ぶようにします。
質問は無制限か
質問の回数に制限がある講座は微妙です。講座を受けている間、講師にできる質問の回数は無制限の方が良いです。
というのも、質問というのは1つすれば、次から次へと出てきます。聞いてみて初めてわかることがあるため、そこから自然と新しい質問が出てくるのです。
例えば、黒髪を描くときに、「立体がなくぺったんこになってしまいます。解決策はありますか?」という質問があったとします。
このとき、講師から「髪の色を黒としてではなく、明暗で捉えてください」とアドバイスされたとします。すると、「黒髪なのに、黒にしてはいけないんですか?」という疑問が自然と湧いてくると思います。
しかし、質問回数に制限があると、この質問ができないか、または、その質問をすることで次の質問ができない可能性があるため、質問することをためらってしまいます。
添削や講評はあるか
添削や講評などで、自分のデッサンを見てもられると、次に何をすれば良いのか、どのような練習が必要なのか見通しがたちます。特に講評はデッサン上達に効果があります。
デッサンでは自分で考える力、思考力が必要です。描き方が一緒でも、モチーフやライティングが変われば絵の結果が変わるため、論理的に考えて応用する必要があります。
添削は講師が良いと思う結果がダイレクトに生徒に伝わるため、自分で考えるよりも、正解をもらおうとする姿勢に偏ってしまう恐れがあります。
デッサンで必要な思考力を育てるには講評の方がより向いているでしょう。講評とは、理由を示しつつ批評することです。現状を伝え、解決案を提示することで、描き手が自分で考えることを促します。
要は添削はアドバイスが具体的すぎて、テストのような感じになってしまうのです。
絵の予備校などでは、添削よりも講評がメインです。生徒の作品に直接手を入れるのではなく、間違いや、より良い道を示しながらも、あえて生徒自身に試行錯誤させることで、デッサンに必要な思考力を育てていきます。
ただ、講評は講師のアドバイスが曖昧すぎると意味がわからないというデメリットもあります。
デッサンでは思考力が必要なため、特に添削、講評があるか、特に講評があるかを確認しましょう。
個別か集団か
受ける講座に個別と集団とがあれば、どちらが良いかも考える必要があります。それぞれメリットとデメリットがあります。
例えば、個別指導は自分にあった目的に応じて指導してもらうことができます。講師の目も一人一人の生徒に集中するので、じっくり指導することができます。
集団指導の場合は、仲間がいることで楽しく、かつ刺激を受けながら上達することができます。ただ、最初は自分の絵を見せるのが恥ずかしいと思ってしまうかもしれません。この辺りは勇気を出して一歩を踏み出すことで、仲間と繋がることができます。
どちらが自分にあっているか、また、緊急性があるかどうかなども考慮して選びましょう。
個別指導のメリット
とにかく短期集中でデッサン力を上げたいなら、個別指導がおすすめです。個別指導は強制力が働きやすいためです。
個別指導は強制力が働きやすく、「やらなきゃ」という気持ちが強くなります。言い方は悪いかもしれませんが、講師に監視されているように感じやすいので、サボりづらいのです。
また、他の人に絵を見られることなく上達できるというメリットもあります。こっそり習いたい方にはおすすめです。
加えて、質問もしやすく、集団の中では聞きづらいような細かいことも確認しながら進めることができるので、早く上達しやすいです。
集団指導のメリット
共通の価値観を持った仲間がいることに価値を感じるのであれば、コミュニティができやすい集団指導の方が良いでしょう。集団指導だとそこで仲間ができ、励まし合いながらでき、良い影響も受けることができます。
人間にはミラーニューロンという神経細胞があります。このミラーニューロンによって、相手を見ているだけでも、自分がそれをしているように細胞が活性化するのです。
つまり、自分以外の人の作品を見たり、講評を見たりするだけで、自分も何かしらの影響を受けるということです。最近見かける、「自分を変えたければ、付き合う人を変えよう」という自己啓発のアドバイスは、このミラーニューロンの働きを利用しています。
自分が好きなものや、同じような志をもつ人がいる環境に身を置くことで、あなたも自分の理想に近づいていきます。
まとめ
デッサン講座を選ぶときに、どのような基準で選べば良いかを説明してきました。まとめると・・・
- 生徒が成果を出しているか
- 初心者向けか、中級者以上向けか
- 社会人向けか、美大受験生向けか
- 講座に期限はあるか
- 講師に質問はできるか
- 質問回数に制限はあるか
- 添削や講評があるか
- 個別指導か、集団指導か
こういった点を、デッサン講座を選ぶときに気をつけて確認しましょう。
これらを確認せずに「有名な人がやっているから」などという理由で選んでしまうと、自分の目的に合わず、思ったような学習効果が得られないかもしれません。
例えば、デッサン・ラボラトリーの通信講座は、社会人向け、超初心者向けです。月額制で期限は本人次第で、質問回数無制限です。また、コミュニティ内で週一回の講評があります。基本的には集団指導です。
※個別指導は不定期で、メルマガ内でおしらせしています。
デッサン上達には継続が不可欠です。自分の目的やレベル、ライフスタイルに合わせて取り組める講座を探すのが、継続のコツです。頑張ってくださいね。