石膏デッサンを描くコツ

「石膏デッサンがうまくなりたい」「石膏デッサンに対する苦手意識を無くしたい」「どうやったらうまく描ける?」

石膏デッサンはデッサン修練の代表みたいな雰囲気があるので、こう思われる方も多いかもしれません。

単純に「白いモチーフで明暗が観察しやすい」「人の形をしているので人物デッサンにも通じる」というだけなのですが・・・。それでもやはり石膏デッサンができるようになりたいという思う方はいるでしょう。

石膏デッサンで大切なのは丁寧さとプロセスです。これを一貫させて描けば、安定して石膏デッサンが描けるようになります。

スーラ(※1)のデッサン

石膏デッサンの描き方

結論から言ってしまいますが、石膏デッサン独特の描き方というものはありません。シンプルに描く力をつけること、つまりデッサンのプロセスを知り、それに従うこと。これが石膏デッサンを上達させるための条件です。

むしろ、そういう風に他のモチーフにも応用できる描き方でなければ、石膏デッサンをデッサンの代表のように扱って練習させる意味がありません。石膏デッサンはできるけど、他のものは描けませんでは困るのです。

そのため、基本的には石膏像でも静物でも人物でもプロセスは同じです。

どのモチーフでも、形を合わせる、色をつける、立体を描く、仕上げ(ヴァルールを合わせる)というプロセスがシンプルで自然です。ライティングに失敗しなければ、どんなモチーフでもこのプロセスで描くことができます。

ヴァルールについては以下のテキストをご覧ください。
>>「ヴァルール(バルール)は写実デッサンのコツ

デッサンはプロセスが大事

レンブラント(※2)のデッサン
アントニオ・ロペス(※3)のデッサン

このページで紹介しているスーラ、レンブラント、ロペスのデッサンの共通点は、形をとり、明暗を大胆に分け、主に明部を肉付け(立体を描写)しているところです。

  1. 形をきちんと計測して合わせる
  2. 明暗境界線ははっきりさせ、色を丁寧につける
  3. 暗部は省略して明部の立体を描く

シンプルなことですが、これらをしっかり守って丁寧に描けば、デッサンは描けます。もちろん石膏像も例外ではありません。

ただ、石膏像は形の狂いが目立ちやすいので、特に形を合わせるプロセスに一番時間を割きます。そして明暗を大胆に分け、肉付けをしていきながらひたすらその色を調整していきます。

明暗を大胆に分けた後にどのような印象になっているか、また、色合わせのプロセスは以下の動画から見ることができます。

まとめ

デッサンのプロセスが安定すると、それに従えば良いという安心感と、描ける自信に繋がります。逆に、感覚でいきあたりばったりに描いていると結果が安定しないため、なかなか描画力に自信が持てません。

デッサンで魔法のような特効薬はありません。大切なのはプロセスですので、それを知って丁寧に描いていくことが大切です。

早くて上手い人ほど、自分の中にしっかりした描画のプロセス、段取りをもち、それを繰り返しています。反復だからこそ精度も上がっていきます。毎回異なる方法で描いていると精度は上がりません。

また、石膏デッサンをする場合は、形を合わせるのに時間の半分をかけましょう。そして明暗をわけ、暗部を省略し、明部で立体を描く。さらに色の調整で仕上げで行います(ヴァルール合わせ)。

慣れるまでは難しいと感じるかもしれませんが、これを徹底し、プロセスを一貫させることで安定した石膏デッサンが描けるようになります。

参考と脚注

※1
ジョルジュ・スーラ(フランス:Georges Seurat)
1859─1891

※2
レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン(ネーデルラント連邦共和國:Rembrandt Harmenszoon van Rijn)
1606─1669

※3
アントニオ・ロペス・ガルシア(フランス:Antonio López García)
1936─