デッサンスケール、デスケル、透視枠の使い方

デッサンスケールを使うことによって構図の検討をしたり、形の狂いを検証したりすることができます。

このテキストではホルベイン画材株式会社の「デッサンスケール」を例にとって説明しています。他のメーカーの似たような名前、形のものでも使い方はほぼ同じです。

> デッサンスケール(デスケル)とは透視枠です

画面と視線は直交させる

デッサンスケールと視線は直交させる

片手でデッサンスケールの隅を持ち、自身の視点とモチーフの間にこれを割り込ませます。すると、デッサンスケールを通してモチーフを見ている格好になります。

この状態で片目をつぶり、デッサンスケールの面の中央と描き手の視線が直交するように、デッサンスケールの位置と角度を調整します。そして、デッサンスケールにプリントされている格子状の直線(透視枠)をガイドとしながら、構図を決定したり、モチーフの輪郭の位置や形状を計測したりします。

デッサンスケールの使い方|構図

透視枠を利用して、対象をどこで切り取るかを決めます。図を例にすると、モチーフである石膏像の頭頂部ギリギリで画面に収めようとしています。また透視枠右側の、下から4分の3を石膏像の左肩から左脇にかけての断面が大きく占めるような構図になっています。

透視枠を上下左右、前後に動かしてあなたがよいと思う構図を見つけましょう。この時、透視枠とモチーフの関係を見失わないよう、以下に挙げる箇所を目標(めじるし)にしておきます。

1|透視枠の中心はモチーフ上のどのあたりにくるか

2|透視窓の四辺形がモチーフをどのように切り取っているのか

デッサンスケールの使い方|形を写す

デッサンスケールでできるのは構図の決定だけではありません。対象の形をそのまま画面上に写すのにも便利です。上述のように構図決めたら、透視枠を頼りに紙にあたりをとっていきましょう。

紙にも透視枠と同じ数と間隔の格子を描くと、より正確に写し取ることができます。ただ、格子の線が濃すぎると描写の邪魔になるので薄く描いてください。テキスト内の図は、わかりやすくするためにガイドを濃く描いています。

図の例ではまず、透視枠の右側にある「左肩から左脇にかけての輪郭(図の青線)上の任意の点」が透視枠中の「どの格子の、どの箇所」に近いのかを確認していきます。そして、画面上の同じ位置にその任意の点を打っていきます。

「任意の点」をいくつも定め、徐々にモチーフの形をあぶり出していきます。

この時、実際に見て取れる輪郭そのものを頑張って追跡描写するより、その輪郭を複数の直線による構成体へとデフォルメした状態で描いていきます。曲線を描くにしても、直線を細かくつなげて曲線に見えるように描く方が形の狂ってしまうのを避ける事ができるからです。

こうしてまずは大まかに点を打ち、徐々に点の数を増やして形を具体的にあぶり出していきます。

デッサンスケールの使い方|検証

デッサンスケールは目測で描いた形があっているかを検証するのにも使えます。

形を写すときのと同じ要領で、対象の任意の点が透視枠のどこにくるのかを確認します。任意の点は、形が大きく変わる目立つところがよいでしょう。

確認したら、デッサンスケールを対象から自分の画面へと向け直し、透視枠が画面の端の四辺と一致するように調整します。これで透視枠越しに画面を見ている状態になります。

そして先ほど計測した任意の点が、画面上のどこにきているかをチェックし、それが先ほど確認した透視枠のどのあたりにあるのかとどれだけずれているのかを見て、必要があれば修正します。