知らないつもりで見るのがデッサン上達のコツ

私たちは普段、目に入るもの全てを見ているわけではありません。目から入ってくる情報があまりにも多いので、必要だと思われる情報だけを経験から選び取っているのです。

しかし、デッサンをするときはこの便利な機能が邪魔になることがあります。「もう知っている」、そう思って描くと観察が甘くなり、説得力のないデッサンが出来上がります。

そんな結果を避けるために、まずは普段の見方とデッサン的な見方、その意識の違いを知っておきましょう。

普段はあまり意識して見ていない

日常で、私たちは浴びるほどの視覚情報に触れ続けています。

光ひとつをとってみても、雲に遮られていない日の光、薄雲の中の光、分厚い雲に遮られた光、朝日、夕日など、とても豊かで変化に富んだ光を見ています。

しかし、毎日毎日、それらを新しい情報として真面目に受け取っていたら、私たちはそれだけで疲れてしまいます。多すぎる視覚情報に、脳の処理がついてこれないでしょう。

脳の負担を軽くするためなのか、私たちの脳は感じたことを分析し、分類し、名付けることで、毎日新しく知覚される情報を「すでに知っている」「経験したことのある」ものとして扱い、注意を払いすぎないようにしています。

例えば、夕暮れ、朝焼け、晴天、曇天、これらの現象は、同じ名前で言い表されても、実は毎日少しずつ様子が異なります。しかし、私たちがそう意識することは稀です。

いざ描こうとすると曖昧にしか思い出せない日常風景

デッサンでは意識的に見る

デッサン力を伸ばすためには、普段であればスルーしてしまう視覚情報に対して意識的に注意を向ける訓練を積みます。当たり前のものを、普段とは違う見方でよく見るのです。

例えば、デッサンでは色の比較、奥行き、立体などの情報を注意して観察します。これは普段とは全く違うものの見方ですが、普段と異なるその視点が「知っているもの」を「知らないもの」に変え、よく観察することにつながります。

ちなみに、色は案外簡単に比較・分析ができますが、奥行き、立体などは初学者にはハードルが高く、特に意識的に見る必要があります。奥行きも立体も日常の中で見て感じているのですが、なんとなく感じているだけで分析するところまでいかないことがほとんどです。

デッサンをするということは、目で知覚したことを平面の上にアウトプットすることです。そして、曖昧に感じていることは曖昧にしかアウトプットできません。「もう知ってるよ」と思っているものでも、いざ描こうとすると思い出せないということはよくあります。

例えば、あなたは自分の家のドアノブの形、色、立体などを、全く見ずに描くことができますか? ぼんやり想像はできても、いざ描くと思い出せない部分があったり、勘違いしていたりします。

意識的に見るために訓練と理論が必要

観察力を磨く訓練としては、とにかくゆっくり描いたりすることで普段は無視してしまう情報を拾い上げたり、稜線というような立体に関する線の概念を知ったりすることで、そこに注意を向けることができるようにします。

そのため、デッサン上達には具体的な訓練と、理論や概念を学ぶこと、この両方が必要です。

デッサンに関係の深い概念や、観察力の訓練法については、当サイトでいくつも紹介していますので、興味のあるところからご覧ください。

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