
顔って描くのが難しいですよね。ちょっと位置がずれただけで、ずいぶんおかしな顔に見えることもあります。
「なんだか変だな」という顔を描かないようにするためには、解剖学的な構造を押さえるのがてっとり早い方法です。そうすることで、まずは人としておかしく見えない顔のフォルムを描けるようにしましょう。
このテキストでは解剖学に基づいた顔のアタリの取り方を紹介します。

顔の構造は複雑
顔がうまく描けない理由の一つに、構造の複雑さがあります。目や口など目立つパーツに加え、表情筋など細かなフォルムが顔という小さな面積の中に詰まっています。
この複雑さ、情報の多さに惑わされて大怪我をする人がぞくぞくと出てきます。これを避けるためにガイドを使いましょう。その名も「ライリーメソッド」です。
この名は『ネイサン・フォークスが教えるチャコールで描くポートレート』から借用しました。
ライリーメソッドとは
ライリーメソッドは、アーティストであるネイサン・フォークスが肖像画を短時間で描くための手法として、彼の生徒たちに教えた手法です。人物頭部を的確に捉えるためのガイドと考えてよいでしょう。

このガイドは解剖学に基づいています。そのため、よくある十字線を用いただけのアタリより、実際の人物頭部の立体にフィットするアタリとなります。
また、このガイドは抽象化され、大事な要点だけに絞られています。これを利用することで、顔のどこを観察する必要があるのかもわかります。
ライリーメソッドの流れ
ライリーメソッドではまず頭部の球体と顎のアタリを描きます。顎のフォルムの違いがその人物の顔のフォルムに影響します。まずは想像で描かずに、実際の人物(写真でも可)の顔の比率を元にアタリを決定しましょう。

それから、目や鼻、口などの位置をとります。これも実際の人物を見ながら、その人物の比率を目測で計測し、合わせます。モデルの比率を無視してライリーメソッドを使うと、そのモデルらしさが出ません。大事なのは実際のモデルの比率であることを忘れないようにします。また、顔のパーツの傾きに注意してください。
そして、最初に描いたアタリと他の細かいパーツをつなぐようにしながら具体的なアタリを描いていきます。
とにかく人物の顔を描けるようになりたい人にライリーメソッドはオススメです。『ネイサン・フォークスが教えるチャコールで描くポートレート』は図版がたくさん載っているので、かたっぱしから模写するのもよいでしょう。ただし、この本には全身の描き方は載っていません。あくまで頭部の描き方を取り上げたものです。
参考と脚注
ネイサン・フォークス『ネイサン・フォークスが教えるチャコールで描くポートレート』ボーンデジタル、2018年
※1
レオナルド・ダ・ヴィンチ(イタリア:Leonardo da Vinci)
1452─1519