形とトーンに絞るデッサン初心者向けの描き方

デッサン初心者の方は、描いてはみるけれど途中からどう進めていいのかわからないということや、このまま描き進めてうまくいくのかわからない、などの不安があると思います。

これはどう描いたらどうなっていくのかというプロセスなどを知らずに、闇雲にに描いていると起こりやすいことです。デッサンの描き方は一つではありませんが、いろいろな描き方に手を出してもうまくいきません。

そこで、初心者の方は数あるデッサンのプロセスからシンプルな方法をピックアップしましょう。そのプロセスに従って描くのが建設的な上達方法です。

Charles Bargue: Drawing Courseより引用

形とトーンに絞る

初心者の方は、形をとって、トーン(調子)をつけることに焦点を絞りましょう。デッサンの描き方は、立体を重視した彫刻的な描き方や、陰影、空間を表現するなど様々あります。

その中でも形とトーンで捉える方法をお勧めするのは、この2つが他の描き方にも繋がりやすいからです。

例えば、構図は大まかにでも形が取れないと決めることができません。画面の中にこのモチーフをこう配置しようと形をおいても、それが狂っていて修正した場合は構図が大きく変わってしまうからです。

私も、形が正確でないことが原因で何度も予定と違う構図に仕上がってしまった経験があります。そのため、まず形とる力が必要です。

また、立体感を出すときには稜線を捉えます。この稜線は光と影、明部と暗部のトーンの変化でよく表します。つまり、トーンの変化を見つけて描く訓練は、稜線や陰影を観察する訓練に繋がっているのです。

さらに、空間は主にトーンで演出します。トーンをコントロールする力をつけると、空間表現も自然とできるようになってきます。

以上が、私が初心者に形とトーンにフォーカスしてデッサンするのをお勧めする理由です。

絞ると進め方が考えやすい

形とトーンに絞ってするデッサンはプロセスが明快です。今、何をすべきなのかがわかりやすく、描き進め方に悩む時間が減るでしょう。

私もそうでしたが、プロセスを絞らずに雑多な技術と観察で描き進めると、散々なデッサンができてしまいます。トーンもぐちゃぐちゃになってくる上、どこをなおせば良いデッサンになるのかがわからないのです。

そして闇雲に手を動かし、さらに画面内がカオスになってくるという悪循環に陥っていました。

しかし、形をしっかりとり、トーンを丁寧に調整するようになってからは絵の質が劇的に変化しました。当時通っていた予備校でも「急に伸びた」と言われました。

こうした経験があるため、初心者の皆さんもとにかく描くのではなく、形とトーンという型に沿って描くことをお勧めします。ちなみに、具体的な描き方の手順は以下のテキストに載せていますので、一読ください。

> シンプルなりんごのデッサン、その描き方

参考と脚注

Gerald M.Ackerman, Charles Bargue: Drawing Course, Art Creation Realisation, 2011