陰影をデッサンするときは陰線を見つける

陰線とは、光が当たって明るくなっている陽面と、光が当たっていない陰面、2つの面の境目にある線のことです。陰線は以下の点で重要です。

・陰線の位置が光源の方向を暗示している
・陰線は稜線でもある(立体の一部である)
・陰線の位置や形が正確だと自然な描写になる

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はっきりとした陰線ははっきり描く

陰線は陰影を描写する上で必要不可欠ですが、「陰線はたぶんこの辺り」という程度に見つけらることがほとんどです。はっきりとした陰線の方が珍しいです。

はっきりとした陰線が見られるのは、立方体のように面と面の境が折れ曲がっているようなものの場合です。

この場合は陰線がどこにあるかは明らかなので、それを素直に描写します。

陰線が曖昧な場合は曖昧に描く

陰線の大体の位置はわかるけれど「一本の線で引くのは難しい」という場合もあります。

例えば、人物の顔などは丸みを帯びているため、はっきりと陰線はありません。

この場合は、陰線を曖昧な状態で、数本の線を使って表します。「陰線があるのはこのあたり!」という範囲の中に、陰線の候補となる線を複数引きます。そして、たいていの場合、この数本の陰線候補がそのまま、曖昧な陰線を表すことになります。

陰線がわからない時

「どこが陰線かわからない」というほど陰線がわかりにくい場合もあります。

曖昧な陰線

そのようなわかりにくい陰線を表現するためには、「陰線には幅がある」と考えます。極端な話、陰線の太さが10cmということもあり得るわけです。この場合は複数の線で陰線を表すよりも、太い陰線の中をグラデーションでつなぐ感じで描きます。

もともと、キアロスクーロなどを行う際も、初めから明確に陰線を決定することは多くありません。陰線が曖昧だったりわかりにくかったりするときはそのように陰線を表し、結果的に陰線(と思われるもの)ができているという格好で問題ありません。

影線を頼りに陰線を見つける

影を観察することで陰線の目安がわかることがあります。ここにある図は、円柱(石膏)の上に立方体(石膏)をおいたものをモチーフとし、それに陰影をつけたものです。

図の通り、 円柱の側面にある陰線は一見どこにあるのかわかりません。そこで、影が始まる位置、地面に落ちている影線を見ます。

影線のはじまりと円柱がぶつかる位置、そこに陰線があります。