DESSIN LABORATORY デッサンがうまくなるための練習法と観察のコツ
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デッサン力を鍛える方法。型をマスターする

レンブラントのキアロスクーロの例

レンブラントのキアロスクーロの例

自分の描く絵が不自然に感じる、デッサン力がないと思う、とにかく早くデッサンが上手くなりたい。もし、あなたがこのようなことを感じているならば、ぜひ試してほしい方法があります。それは、デッサンの型を習得することです。デッサンの型を、体が覚えるまで何度も繰り返し描くことで、デッサン力を上げることができます。

型を使ってデッサン力上げることは、過去の画家たちも行ってきたことです。伝統的な型をマスターすれば、デッサン力に自信がつく上に、周りからも一目置かれるでしょう。

このテキストではその型と、それを身につけるメリット、習得のしかたについて説明します。

もくじ
▪  型を身につければデッサン力は上がる
▪  型にはデッサンの基本的な要素が詰まっている
▪  下書きとして、絵画的効果として
▪  くり返し描くことで型をマスターする
▪  まとめ

型を身につければデッサン力は上がる

私は美術大学に入るまでに2浪しています。お恥ずかしい話ですが、私は浪人2年目の12月まで、感覚主義で行き当たりばったりのデッサンをしていました。そのため、デッサン力はとても不安定なものでした。

その頃に、ワラにもすがる思いで本屋をうろつき、解決策がないかとヒントを探していました。そこで、私はある手法に出会います。その手法は特別でもなんでもない、当たり前の、昔からある型を使ったものでした。私はさっそくその手法を自分のデッサンに取り入れました。

その結果、デッサン力は上がり、画塾講師からもよい評価をいただきました。

また、型通りに描くことで、その日のコンディションに左右されずに、安定したデッサンを描くことができるようになりました。その型の名前はキアロスクーロです。

キアロスクーロを取り入れたお手本

キアロスクーロを取り入れたお手本例

型にはデッサンの基本的な要素が詰まっている

キアロスクーロは明部と暗部を大胆に分けることで立体感を出したり、写実的な描写をする手法です。19世紀のフランスでは、基本の技術として教本にも採用されていました。伝統的なデッサンを美術大学で学んだピカソ※1など過去の巨匠たち、ゴッホ※2もそれを学んでいます。

> 「デッサン上達にはキアロスクーロ(明暗法)」

キアロスクーロが型として有効なのは写実的に描くための基本的な要素が詰まっているからです。基本的な要素とは、「輪郭線」「稜線」「陰影」「ヴァルール」などです。

> 「デッサンで輪郭線とは立体のピークを表す線」
> 「稜線はデッサンで立体を表すための大切な要素」
> 「陰と影を知ってワンランク上のデッサンへ」
> 「ヴァルール(バルール)は写実デッサンのコツ」

キアロスクーロを使って美しいデッサンを描くためには、これらを適切に扱う力が必要になります。逆に、キアロスクーロを描く訓練をする中で、そのような基本的な力が鍛えられていきます。そのため、デッサンの基本的なスキルを身につけるために、キアロスクーロはもってこいなのです。

キアロスクーロを基本の型として、いろいろなスタイルを自分で編み出すことも可能です。例えば、ピカソとブラック※3が作ったキュビズムというスタイルも、キアロスクーロと関連があります。

彼らは同じ対象を色々な角度から見て、それを画面の中で融合させました。融合させるときに、その手がかりとなっているのは「輪郭線」と「稜線」です。「稜線」は、光が当たるところと、陰(影ではない)になるところの境界に見つけることができます。そして、先ほど説明した通り、「輪郭線」と「稜線」は、キアロスクーロを習得する過程で学ぶことができます。

カラヴァッジョのキアロスクーロの例

カラヴァッジョのキアロスクーロの例

下書きとして、絵画的効果として

キアロスクーロを学ぶメリットはデッサンの基礎力を上げるだけではありません。あなたが構図を考えるときには、描くものの形だけではなく、色や陰影のバランスも考えますね? キアロスクーロを使ってささっと画面内にあたりをとることができれば、形だけでなく、陰影も含めることができるので、構図を考えやすくなります。

また、対象の形を大まかに描き出すときも、陰影を含んだキアロスクーロであたりをとれば、輪郭線だけであたりをとるよりもその精度が上がります。

もちろん、構図を考えたり、形のあたりをとるような下書きの作業だけでなく、キアロスクーロをそのまま絵画的な効果として使うこともできます。キアロスクーロを絵画に直接使っている代表例といえば、レンブラント※4とカラヴァッチョ※5の作品です。光と影の効果は、感情に訴えかけるような劇的な印象を生み出します。

くり返し描くことで型をマスターする

型はくり返し練習することで身につきます。キアロスクーロも、身につくまでとことんくり返して描く必要があります。反復学習は王道とも言える勉強法です。

一旦身につけるまでは、他の手法には手を出さないでください。型を自分のものにする前に、その型から離れるとその感覚を忘れてしまいます。マスターするまではその手法しか使わない! というぐらいでいいでしょう。

また、一度描いた後に時間を空けすぎないようにします。型を体が覚えるまでは、毎日描くのが理想です。少なくとも2日に1度は練習してください。せっかく掴んだ型の感覚を体が忘れてしまうのはとてももったいないことです。

まとめ

型を習得すること、キアロスクーロという型がオススメであること、型をマスターするためにはくり返し練習する必要があること。以上が本テキストの要点です。デッサン力を鍛えたい方はぜひ挑戦してみてください。

ここで、ではキアロスクーロは具体的にどう描くのか? という疑問が出てくると思います。それについては、別テキストで詳しく公開します。

参考と脚注

Gerald M.Ackerman, Charles Bargue: Drawing Course, Art Creation Realisation, 2011

※1
パブロ・ピカソ(スペイン:Pablo Picasso
1881─1973
※2
フィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホ(オランダ:Vincent Willem van Gogh
1853─1890
※3
ジョルジュ・ブラック(フランス:Georges Braque
1882─1963
※4
レンブラント・ハルメンソーン・ファン・レイン(ネーデルラント連邦共和國:Rembrandt Harmenszoon van Rijn
1606─1669
※5
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(イタリア:Michelangelo Merisi da Caravaggio
1571─1610

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