デッサン初心者のための、明暗を描く練習法

対象の立体感を出したり、劇的な画面構成をするのにキアロスクーロ(明暗法)はとても有効な技法です。

また、キアロスクーロを使うと画面がすっきりと整理され、デッサンがよく見えます。

このテキストでは、模写を通してキアロスクーロの練習をします。対象の陰影や画面構成など、いろいろ応用できる技法なので、ぜひマスターしてください。

1. 練習の内容

  • 制限時間:1時間
  • 目的:キアロスクーロ(明暗法)で陰影を表現する
  • 行動:画手本を白黒だけで模写する

テキスト「デッサン上達にはキアロスクーロ(明暗法)」を読んでからこの練習を行ってください。

> デッサン上達にはキアロスクーロ(明暗法)

1-1. 画材の準備

・スケッチブック、またはA4のコピー紙
・4Bより濃い鉛筆
・練り消しゴム

> デッサンでよく使われているおすすめの鉛筆

スケッチブックを机の上か、カルトンの上に設置します。

> デッサン用のカルトン(画板)の特徴と使い方

1-2. モチーフの準備

ハガキより大きい画手本を準備します。絵ハガキでも構いません。

おすすめはカラヴァッジョ※1、ラ・トゥール※2、バリオーネ※3の作品です。これらは明暗がはっきりしていて、キアロスクーロの練習に適しています。

ラ・トゥール「悔い改めるマグダラのマリア」

1-3. 手順1

あなたが模写したい絵を選びます。白黒でもカラーでも構いません。

選んだ絵の外枠と同じ比率の枠を、定規などを使って正確にスケッチブックに描いてください。

その枠の中に、模写する絵の大まかな輪郭線を描きます。輪郭線の色は薄くしておきましょう。線が濃すぎると、陰影をつけるときに邪魔になる可能性があるためです。

1-4. 手順2

輪郭線が描けたら、明暗に基づいて白と黒の2色に分けて模写していきます。白色にする部分は紙の白色を残し、黒色にする部分は鉛筆で塗りつぶします。

この時、赤や黄色などの固有色(物についている色)に惑わされず、明暗を基準にして白黒に分けてください。

例えば、黒い髪の毛だからと言って、髪をすべて黒く塗るのではなく、その中で光が当たっているところと陰になっているところを分け、そこで白と黒に分けるようにします。

練習結果の例

2. 中間色は白か黒か?

この練習では、中間色も必ず白か黒のどちらかに振り分けてください。

なぜなら、この練習はキアロスクーロの見方を作るための模写で、極端な見方をした方がそのコツが掴みやすいからです。

「この色はどっちにすればいいの?」とあなたが思う色があったら、目を細めて画手本を見てください。

すると、どちらに振り分けらばいいのかわかりにくかった色が、明るい色と暗い色の、どちらかに近いことがわかります。目を細めて画手本を見ることで、近い方の色に埋没して見えるためです。

どちらの色に近いかがわかったら、近い方の色に振り分けてください。

参考と脚注

※1
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(イタリア:Michelangelo Merisi da Caravaggio
1571─1610

※2
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(ロレーヌ公国:Georges de La Tour
1593─1652

※3
ジョヴァンニ・バリオーネ(イタリア:Giovanni Baglione
1566─1643